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ことり

命の本質は生きようとしている ~菊池寛 身投げ救助業より~

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初めての方はこちらから↓↓

【老化や病気・不調が起こる根本原因とその対策法をご紹介します】

 

 

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投稿が一か月以上空いてしまった…

次回からはコンスタントにUPしたいと思う。

 

 

前回の続きの前に書いておきたい。

 

 

 

 

 

先月は患者さんのご家族が2名お亡くなりになり

僕の同級生も向こうへ旅立った。

 

 

 

 

自分にとって最愛の人が亡くなる。

自分よりも若い方(世代)が亡くなる。

 

 

この悲しみは当人しか分からない。

掛ける言葉は見つからない。

 

掛ける言葉などないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでどんどん元気になっていったのに

大切なご家族が亡くなり、生きる気力が失われる。

 

 

「もう死にたい」

 

 

そんな言葉が出ても当然だろう。

 

 

 

 

 

僕はそういった状況下で想う死を、肯定も否定もしない。

 

 

 

でも、僕の中では

僕の中だけではこんなことを思っている。

 

 

 

 

【どんな状況でも、命の本質は生きようとしている】

 

 

 

 

 

それでもやるせなさに引っ張られる時は

時々、菊池寛が描いた

「身投げ救助業」という短編小説を想い出し

腹に力を入れ直すようにしている。

 

 

 

 

 

「身投げ救助業」

大まかなストーリーを転機する↓↓

 

 

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ものの本によると、京都にも昔から自殺者はかなり多かった。

都はいつの時代でも田舎よりも生存競争が烈しい。

生活に堪えきれぬ不幸が襲ってくると

思いきって死ぬ者が多かった。

 

 

洛中洛外に激しい飢饉ききんなどがあって

親兄弟に離れ、可愛い妻子を失うた者は世をはかなんで自殺した。

 

除目じもくにもれた腹立ちまぎれや、義理に迫っての死や

恋のかなわぬ絶望からの死、数えてみれば際限がない。

 

 

 

自殺をするに最も簡便な方法は

まず身を投げることであるらしい。

ところが京都にはよい身投げ場所がなかった。

むろん鴨川では死ねない。深いところでも三尺ぐらいしかない。

 

だからおしゅん伝兵衛は鳥辺山とりべやまで死んでいる。

たいていはくびれて死ぬ。

 

 

しかしどうしても身を投げたい者は、清水の舞台から身を投げた。

「清水の舞台から飛んだ気で」という文句があるのだから

この事実に誤りはない。

 

しかし、下の谷間の岩に当って砕けている死体を見たり、

またその噂をきくと、模倣好きな人間も二の足を踏む。

 

 

 

 

どうしても水死をしたいものは

お半長右衛門のように桂川まで辿って行くか

逢坂山おうさかやまを越え琵琶湖へ出るか

嵯峨の広沢の池へ行くよりほかに仕方がなかった。

 

ともかく、京都によき身投げ場所のなかったことは事実である。

 

 

 

明治になって

槇村京都府知事が疏水そすい工事を起して琵琶湖の水を京に引いてきた。

この工事は京都の市民によき水運を備え

よき水道を備えると共に

またよき身投げ場所を与えることであった。

 

 

疏水は幅十間ぐらいではあるが、自殺の場所としてはかなりよいところである。

しかし、身体の重さを自分で引き受けて水面に飛び降りる刹那には

どんなに覚悟をした自殺者でも悲鳴を挙げる。

 

 

これは本能的に

生を慕い死を恐れるうめきである。

しかしもうどうすることもできない。

水煙みずけむりを立てて沈んでから皆一度は浮き上る。

 

 

 

その時には助かろうとする本能の心よりほか何もない。

手当り次第に水をつかむ、水を打つ、あえぐ、うめく、もがく。

そのうちに弱って意識を失って死んでいくが

もし、この時救助者が縄でも投げ込むと、たいていはそれを掴む。

 

 

これを掴む時には、投身する前の覚悟も

助けられた後の後悔も心には浮ばない。

 

ただ生きようとする強き本能があるだけである。

自殺者が救助を求めたり

縄を掴んだりする矛盾を笑うてはいけない。

 

 

 

 

 

ともかく、京都にいい身投げ場所ができてから

自殺するものはたいてい疏水に身を投げた。

 

疏水の一年の変死の数は

多い時には百名を超したことさえある。

疏水の流域の中で、最もよき死場所は

武徳殿のつい近くにある淋しい木造の橋である。

 

 

右手には平安神宮の森に淋しくガスが輝いている。

左手には淋しい戸を閉めた家が並んでいる。

従って人通りがあまりない。

 

それでこの橋の欄干から飛び込む投身者が多い。

岸から飛び込むよりも橋からの方が

投身者の心に潜在している芝居気を満足せしむるものと見える。

 

 

ところが、この橋から四、五間ぐらいの下流に

疏水に沿うて一軒の小屋がある。

そして橋から誰かが身を投げると

必ずこの家からきまって背の低い老婆が飛び出してくる。

 

橋からの投身が、十二時より前の場合はたいてい変りがない。

老婆は必ず長い竿を持っている。

そしてその竿をうめき声を目当てに突き出すのである。

 

 

 

多くは手答えがある。もし、ない場合には

水音とうめき声を追いかけながら

幾度も幾度も突き出すのである。

 

それでも、ついに手答えなしに流れ下ってしまうこともあるが、

たいていは竿に手答えがある。

それを手繰り寄せる頃には

三町ばかりの交番へ使いに行くぐらいの

厚意のある男がきっと弥次馬の中に交っている。

 

 

冬であれば火をたくが

夏は割合に手軽で、水を吐かせて身体を拭いてやると

たいていは元気を回復し警察へ行く場合が多い。

巡査が二言三言ふたことみこと、不心得を諭すと

口ごもりながら、詫言をいうのを常とした。

 

 

 

 

最初に橋から投身者があった時

老婆はどうすることもできなかった。

大声を挙げて叫んでもめったに来る人がなかった。

運よく人の来る時には、投身者は疏水の

かなり激しい水に巻き込まれて、行方不明になっていた。

 

 

こんな場合には、

老婆は暗い水面を見つめながら、微かに念仏を唱えた。

しかし、こうして老婆の見聞きする自殺者は

一人や二人ではなかった。

 

二月に一度

多い時には一月に二度も老婆は自殺者の悲鳴をきいた。

それが地獄にいる亡者のうめきのようで

気の弱い老婆にはどうしても堪えられなかった。

 

 

 

 

とうとう老婆は、自分で助けてみる気になった。

よほどの勇気と工夫とで、老婆が物干の竿を使って

最初に助けたのは、二十三になる男であった。

 

主家の金を五十円ばかり使い込んだ

申し訳なさに死のうとした、小心者であった。

 

巡査に不心得を諭されると、この男は改心をして働くといった。

 

 

 

 

それから後というものは、老婆は懸命に人を救った。

そして救い方がだんだんうまくなった。

 

水音と悲鳴とをきくと、老婆は急に身を起して裏へかけ出した。

そこに立てかけてある竿を取り上げて

漁夫がほこで鯉でも突くような構えで水面を睨んで立って

あがいている自殺者の前に竿を巧みに差し出した。

 

 

竿が目の前に来た時

取りつかない投身者は一人もないといってよかった。

 

それを老婆は懸命に引き上げた。老婆はこのようにして

四十三の年から五十八の今までに、五十いくつかの人命を救うている。

 

 

 

 

ある夜、老婆は十八になる娘を救うたことがある。

娘は正気がついて自分が救われたことを知ると

身も世もないように泣きしきった。

 

やっと巡査にすかされて

警察へ同行しようとして橋を渡ろうとした時

娘は巡査の隙を見て再び水中に身を躍らせた。

 

しかし娘は不思議にもまた

老婆の差し出す竿に取りすがって救われた。

 

老婆は、再度巡査に連れられて行く娘の後姿を見ながら

「何遍飛び込んでも、やっぱり助かりたいものやなあ」というた。

 

 

 

 

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一部抜粋で、小説の核心は転機していないので

興味を持たれた方は小説を読んで欲しい

(確かkindleで無料で読めたはずです)

 

 

 

 

小説と内容はかなり異なるが

僕も悲しみや不安を抱え、もう死にたいと話される方の

お体に触れさせて頂くことが少なくない。

 

 

どんな絶望を抱えた方でも

必ずお身体は反応する。回復を試み、回復する。

 

 

僕はその反応を声として傾聴する。

大脳が訴える悲痛とまた別に

生きたいと願う本能にも、僕は心から慈しみを感じている。

 

 

 

 

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